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情報の透明化を目指して
医師が、金銭の支払いを受けた製薬会社の薬の処方を優遇することはないかーー。この疑問を解消するためには、情報の透明化を進めるしかありません。
製薬会社の売り上げの約9割は、医師の処方箋が必要な「医療用医薬品」です。製薬会社が利益を増やすには、医師に処方箋を書いてもらう必要があります。薬を「消費」するのは患者でも、製薬会社にとっての「顧客」は医師という関係性があります。
日本ではこうしたデータベースがありませんでした。このため、特定の医師が受け取った金銭を製薬会社間で比べることができません。

10社から合計で1000万円受け取るのと、1社から1000万円受け取るのとでは利害関係の強さがまるで違うのに、比較ができないのです。
日本学術会議は2014年3月、製薬会社でつくる日本製薬工業協会(製薬協)に対して、データベースを作成するよう提言しました。医師が薬を処方する権限を持ち、人の命と健康を左右する公人である以上、当然の提言だと思います。
しかし製薬協はデータベースを作成していません。厚生労働省など公的機関もデータベースを持っていません。そのため、私たちは自らの手でデータベースをつくっています。
このデータベースは、医療現場の透明化を大きく前進させることでしょう。上に述べた公開の趣旨と目的を踏まえ、このデータベースが適切に利用されることを希望します。
データベースの使用に当たってのお願い
データベースは、製薬各社がホームページ上で公表している医療関係者への支払い情報に基づいて作成しています。正しく表示されるよう精査していますが、氏名、組織名、金額の誤記または脱落がある可能性もあります。
誤りにお気づきになりましたら、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
製薬会社が公表した情報に誤りがある場合は、当該製薬会社にご相談ください。
メディアまたは研究者の方が当データベースを利用し記事や論文を公開される場合には、出典として、必ずデータベース名と作成者(2016年度〜2019年度データは医療ガバナンス研究所と Tansaの共同研究による、2020年度以降は医療ガバナンス研究所による)のクレジットの記載をお願いいたします。
同姓同名の方もおり、可能な限り判別してアルファベットで表記しました。判別できなかった場合は「判別不能」としています。
年度ごとに集計しているため、2016年度と2017年度に「例:山田太郎a」という方がいた場合、同一人物とは限りません。
また、氏名の漢字は新字体で表記していますが、一部に表記の揺れなどがあります。旧字体がある場合は旧字体でも検索ください。
用語の説明
- 透明性ガイドライン
- 医師が製薬会社から受けた金銭情報を公開する欧米での動きを受け、大手製薬会社が加盟する業界団体の日本製薬工業協会が2011年に策定。加盟製薬会社はガイドラインに従い、医師個人や医療機関、研究機関への支払い情報を公開している。
- A項目(研究開発費等)
- 臨床研究や治験、製造販売後臨床試験などの研究開発に対する資金提供。
- B項目(学術研究助成費)
- 学術研究の支援を目的に、主に大学や研究機関に対して支払われる。学会などの共催費用も含まれる。
- C項目(原稿執筆料等)
- 主に医師個人に対して支払われる謝礼。セミナーなどの講演料や原稿執筆料、コンサルティングに対する業務委託の費用が含まれる。
- キーオピニオンリーダー(KOL)
- 医療業界で影響力を持つ医師。大学病院の教授や、大病院の院長クラス、ある領域の権威など。製薬会社は自社製品の販売促進のために、KOLに働きかけ、KOLからの発信によって他のドクターにも最新の製薬情報の普及・浸透をはかる。インフルエンサーと呼ばれることもある。
- 診療ガイドライン
- 病気の予防・診断・治療・予後予測など、診療の根拠や手順について最新の情報をまとめた指針。使用が推奨される薬も明記されており、医師はガイドラインを見て治療方針や処方する薬を決めていくことが多い。各診療科の学会などが委員会を形成し、ガイドラインを作成する。
- PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
- 厚労省が所管。薬機法に基づき医薬品・医療機器などの品質、有効性、安全性を審査する。新薬などはPMDAの審査を通過したものを厚生労働大臣が承認することで、国内で使用できるようになる。
- 薬価算定組織
- 新薬が正式に承認されたあと、厚労省が提出した原案をもとに薬の値段を決める医師や研究者で構成された組織。委員は厚労省が選出する。
- 専門医
- 各学会が認定した資格を持つ医師のこと。通常、試験や経験年数、研修、学会・研究発表等の要件を満たした場合に認定される。